介護職の志望動機をどのように書いたら良いか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
特に、介護職は人物像を重視する傾向にあるため、志望動機は熱意を最大限アピールできるポイントです。
そのため、志望動機は好印象を与えられるように、具体的にしっかりと作成する必要があります。
今回は、介護職の志望動機の書き方のポイントや注意点を解説しながら、未経験者と介護職経験のある方、希望職種の3パターンに分けて志望動機の例文もご紹介します。
また、面接時のポイントもご紹介していますので、面接の対策も知りたい方は合わせてぜひ参考にしてください。
目次
介護業界での志望動機を書くポイント
介護業界での仕事を希望している場合、志望動機には介護職を希望した動機や経験、熱意などをしっかりアピールする必要があります。
介護業界における志望動機を書くポイントは主に次の4つです。
- 介護職で働きたい動機を明確にする
- 応募先で選んだ理由を具体的に書く
- 自分の経験や強みをアピールする
- 応募先で働きたいという熱意をしっかり表現する
それぞれ詳しく解説します。
介護職で働きたい動機を明確にする
志望動機を書く前に、介護職で働きたい動機を明確にしましょう。
なぜなら、「やる気があります」「人の役に立ちたい」など、あいまいでよく使われる表現だけでは説得力に欠けるからです。
「人の役に立ちたい」のであれば、介護職以外にもたくさんの仕事があるため「人の役に立ちたい」というあいまいな表現では、介護職の志望動機としては根拠が弱くなります。
介護職を目指すきっかけとなった具体的なエピソードとともに、介護職を選んだ理由を書き出してみると、働きたい動機が明確になります。
応募先を選んだ理由を具体的に書く
志望動機は、介護職で働きたい動機の他に、応募先を選んだ理由も具体的に書きましょう。
多種多様な施設や職種がある中で、応募先でなぜ働きたいのか、なぜその職種を選んだのかをしっかりとアピールすることが大切です。
応募先を選んだ理由を書く際は、志望先である施設の特徴をとらえて、応募先の何に魅力を感じたのかを具体的に挙げましょう。
自分の経験や強みをアピールする
志望動機には、自身が今まで経験してきた内容や強みを盛り込みましょう。
どのように応募先の施設に貢献できるのか、具体的な自分の強みをしっかりアピールしましょう。
介護職に限らず、どこの会社や施設も求人を募る際は自社に貢献してくれる人を求めています。
自分の経験や強みを仕事への向き合い方や、利用者様へどのように関わりたいのかなどに結び付けて具体的に記載しましょう。
応募先で働きたいという熱意をしっかり表現する
志望動機は、何よりも「応募先で働きたい」という熱意をしっかり表現しましょう。
介護職は、介護を必要とする方の身の回りの支援から心のケアまで幅広いサポートを行うのが仕事です。
決して簡単な仕事ではないため、採用担当者は「すぐに辞めてしまわないか」という点も見ています。
熱意があり、仕事を続けていく強い意志があると思わせるような内容にしましょう。
将来に向けての自分の目標や将来像を記載すると、向上心がある人だとアピールもできるのでおすすめです。
介護職未経験者の場合の志望動機例文
それでは実際に、介護業界における志望動機を書くポイントを踏まえて、志望動機の例文をご紹介します。
まずは、介護職未経験者の場合の志望動機の例文を4つご紹介します。
例文①未経験だが熱意があることをアピール
私は「人の役に立ちたい」という思いが人一倍強いと自負しております。
私が人の役に立ちたいと思うようになったきっかけは祖母の介護です。
祖母は5年前に病気で寝たきりとなり、翌年には認知症と診断されて、家族で協力しながら介護をしてきました。
介護は体力と精神面での負担が多く辛いこともありましたが、私が介護をすることで祖母が喜んでくれたり、家族から感謝されたりすることで、やりがいを覚えるようになりました。
その経験から、将来は介護士になり利用者様やそのご家族様のサポートができるようになりたいと考えております。
現在、独学ではありますが、介護職員初任者研修の資格取得のために勉強中です。
今後は、介護職員初任者研修の資格を取得し、3年間の実務経験を経て介護福祉士にも挑戦していく予定です。
専門的な介護の知識はまだ少ないですが、祖母の介護経験を活かし、利用者様の支援はもちろんご家族様にも寄り添いサポートできるように努めていきたいと考えております。
例文②ボランティアをきっかけに介護職に挑戦したい
私が介護職を志望したのは、学生時代のボランティアがきっかけです。
ボランティアでは老人ホームの入居者様と関わらせていただいていました。
老人ホームの入居者様と関わる中で、どのようにコミュニケーションを取れば楽しく過ごしていただけるのだろうかと考えるようになり、入居者様が楽しそうにしている姿を見ると私まで嬉しくなりました。
そうした入居者様の日常生活を見守る老人ホームの介護職員の仕事にとても魅力を感じています。
入居者様にご自宅で過ごされているような安心感を得ていただきながら、人生を楽しむお手伝いがしたいと考えており、入居者様一人ひとりに合わせたライフスタイルを重視する貴施設を志望いたしました。
例文③家族の介護経験から介護職として働きたい
私が介護業界を志望した理由は、祖父の介護を経験したからです。
祖父の介護のときに、無知である私たち家族に対して、ケアマネージャーの方や施設の介護職員の方が助けてくださいました。
その際に、介護を学びとても価値のある仕事であると感じました。
次は、私がその一員として同じような利用者様やそのご家族様を助けられる存在になりたいと考えております。
介護職は未経験なため、最初はご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、貴施設に早く貢献できるように懸命に頑張りますので何卒よろしくお願い申し上げます。
例文④他業種での勤務経験を活かして介護職で働きたい
私は人と関わることが好きで、長年飲食店での接客業に携わってきました。
お客様が喜んで帰られる姿にやりがいを感じており、居心地の良い空間づくりを目指して試行錯誤して参りました。
その1つとして、車椅子を利用される方やご高齢の方のサポートができるように、介護職員初任者研修を受講しています。
福祉や介護への理解を深める中で、介護の仕事にとても興味を持つようになり、この度志望した次第です。
介護業界は未経験ですが、長時間の立ち仕事で体力には自信があります。
また、長年の接客業で身についた高いコミュニケーション能力を活かし、利用者様やそのご家族様に寄り添ったサービスを提供していきたいと考えております。
介護職経験者の希望職種別・志望動機例文
次に、介護職経験者の希望職種別で志望動機の例文をご紹介します。
職種は次の3つです。
- 介護職員(ホームヘルパー)
- 生活相談員
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
それぞれの例文をご紹介します。
例文①介護職員(ホームヘルパー)の場合
「住み慣れた家で過ごしたい」と思う利用者様の力になりたいと考え、貴社を志望しました。
私は3年間老人ホームで働いていた経験があり、自宅と同じように過ごしていただけるよう身の回りのサポートをさせていただきながら利用者様の生活を見守ってきました。
しかし、利用者様の「自宅に帰りたい」という声やご家族様から「自宅に戻ると笑顔が絶えず楽しそう」というお話を伺うことがあり、自宅で安全に生活ができるお手伝いができればと思うようになりました。
そのため、訪問介護で働くことを希望しています。
最初は慣れずご迷惑をおかけするかもしれませんが、介護職員初任者研修も修了しておりますので、できるだけ早く独り立ちできるように努力いたします。
例文②生活相談員の場合
貴施設の生活相談員と介護職を兼任できる点に魅力を感じて志望しました。
介護の仕事に就いて8年になります。
多くの経験を通して、もう少し利用者様の希望に寄り添った介護ができるのではないかと感じるようになり、生活相談員になるのを目標にしてきました。
しかし、利用者様への身の回りのお世話やケアなど直接の支援ができる現在の仕事にもやりがいを持っており、生活相談員と介護職を兼任しながら仕事ができるところを探していたところ貴施設を知りました。
貴施設の見学をさせていただいた際の利用者様の安心した表情や楽しそうな姿が印象に残っており、私も貴施設の一員として利用者様が安心で楽しく暮らしていただけるようなサポートを行いたいと思い志望しました。
例文③介護支援専門員(ケアマネジャー)の場合
ケアマネジャーとしてスキルアップをしたいという思いから、この度転職を決意いたしました。
現在は、施設のケアマネジャーとして5年ほど従事しておりますが、小規模施設がゆえに利用者様が少なく他の業務も兼任している状況です。
利用者様へ直接関わることができるのでとてもやりがいのある仕事ではありますが、今後はケアマネジャーの業務の経験を一から積んでいきたい所存です。
そのため、居宅ケアマネジャーを希望しております。
業務内容から利用者様へのケアまで施設とは異なるため新たに学ぶべきことも多いですが、現在もケアマネジメントの質を高めるための学習を怠らないように日々取り組んでおりますので、もし採用となってもクリアできると考えております。
また、貴法人では勉強会やセミナーの開催、資格取得の支援などキャリアアップ体制も整っており、そうした環境でスキルアップしながら、一人でも多くの利用者様に寄り添った支援サービスを提供していきたいと考えております。
介護職経験者のサービス形態別・志望動機例文
続いて、介護職経験者のサービス形態別で志望動機の例文をご紹介します。
サービス形態は次の4つです。
- 介護老人保健施設
- 特別養護老人ホーム
- 訪問看護
- デイサービス
それぞれの例文をご紹介します。
例文①介護老人保健施設の場合
介護職だけでなく、医師や看護師、リハビリテーション専門職など他職種の方とチームでサービスを提供する介護老人保健施設に魅力を感じ、志望しました。
他職種の方の意見や考え方など、多方面からの視点に触れることで自身のスキルアップにつながり、より良いサービスの提供ができると考えたためです。
私は現在デイサービスで6年ほど従事しております。
これまでの経験を活かして、利用者様が少しでも生活に楽しみを感じてもらえるような工夫も取り入れながら、貴施設の一員としてより良いサービスの提供のために貢献していきたいと考えております。
例文②特別養護老人ホームの場合
私が貴施設を志望した理由は、入居者様の生きる喜びを追及する理念に共感したためです。
デイサービスで4年間働いてきて、利用者様の笑顔が見られたときにとてもやりがいを感じていました。
介助の際にも、コミュニケーションを積極的に取り楽しんでもらうことを念頭に行っています。
貴施設でもこれまでの経験を活かして、入居者様と積極的にコミュニケーションを取りながら、生きる喜びを感じていただけるようなサービスの提供を目指していきます。
例文③訪問看護の場合
総合病院へ勤務したのち、有料老人ホームへ転職し5年間勤務してきました。
老人ホームの仕事を通して、施設ではなく自宅で過ごしたいと望まれる入居者様のニーズが多いことを感じ、在宅で安心して過ごせるようなお手伝いをしたいと訪問看護を志しました。
訪問看護は未経験ではありますが、患者様やそのご家族様と積極的にコミュニケーションを取り、可能な限り希望に寄り添いながら最適なケアを提供できるように努めて参ります。
例文④デイサービスの場合
限られた時間の中で利用者様にどれだけ楽しんでもらえるかを追求する貴施設に魅力を感じ、志望しました。
現職でもデイサービスを担当し、介護度の重い方が多いため、サポートに重点をおいてサービスを提供しております。
介護経験を積み、スキルアップができたと感じている一方で、もっと利用者様とコミュニケーションを図りながら楽しいひと時を感じてもらいたいという思いが強くなりました。
貴施設では、特にレクリエーションに注力されています。一人でも多くの利用者様に楽しんでもらうレクリエーションを提供できるようにスキルアップしていきたいと考えております。
志望動機のNGな書き方
志望動機は自分の個性を表現し、熱意をアピールできる重要なポイントです。
しかし、内容や書き方によってマイナスのイメージを与えてしまう可能性があります。
志望動機のNGな書き方を4つご紹介しますので、自分の志望動機が悪印象を与えてしまうものになっていないかチェックしましょう。
志望動機を待遇や福利厚生面だけで書く
待遇や福利厚生は働きたい施設を選ぶのにとても大事なポイントです。
しかし、そこだけを志望動機に書くのは採用側にとって印象が良くないので避けましょう。
待遇や福利厚生を志望動機で書くなら、「働きやすい環境が整っている」といったように表現するようにしましょう。
前職の退職理由に不満ばかりを書く
転職する理由やきっかけは、人によってさまざまです。
中には不満もあるかもしれませんが、志望動機に前職の不満ばかりを書くことはやめましょう。
同じように自分の施設の不満を言われるのではないかと採用側から悪い印象として受け取られます。
どこかで見たような志望動機しか書かれていない
「貴施設の理念に魅力を感じ、志望しました」のような漠然とした志望動機はやめましょう。
採用側から見ると、ありきたりで使いまわされた志望動機とみなされ、印象があまりよくありません。
志望動機を書くときは、なぜその施設でなければいけないのかを具体的に説明できるようにしましょう。
そのためには、応募先の施設をよく知ることが大切です。
「学びたい」という内容を書く
「学びたい」という言葉は一見、向上心があるように見えるキーワードですが、採用側目線で考えるとNGワードになります。
学びたい姿勢は確かに大切ですが、職場は学校のように学ぶところではないので、あまり良い印象を与えられないでしょう。
もし、「学びたい」というキーワードを志望動機に盛り込みたい場合は、仕事で学んでどのように成長していき貢献していくのかを具体的に書けると、将来のビジョンをと描けると好印象につながります。
介護職の面接を突破するためのポイント
書類審査を突破したら、次に待ち受けるのが面接です。
介護職は利用者様とはもちろん、働く同僚とコミュニケーションが図れるかどうか重要なため、面接に力を入れている施設が多いです。
そのため、きちんとした対策を事前に取っておきましょう。
介護職の面接を突破するためのポイントを6つご紹介します。
少し早めに到着して気持ちを落ち着かせる
面接の際は、少し早めに到着しておくことがおすすめです。
20分前には面接会場の近くには到着しておき、気持ちを落ち着かせる時間をつくると緊張も和らぎますよ。
面接会場には、面接時間の5〜10分前を目安に到着しましょう。
介護職は清潔感があることも大切
面接時は清潔感のある身だしなみを心がけましょう。
特に、介護職は利用者様からの印象がコミュニケーションにも大きく影響します。
施設の印象にもつながるため、できるだけ清潔感のある服装を選びましょう。
汚れやシワはもちろんのこと、ボタンもしっかり上まで止めて、着崩れしないように意識しましょう。
また、服装だけでなく、清潔感のある髪型にすることも面接での好印象につながります。
面接官と目を合わせて明るい表情で
面接時は目を合わせて明るい表情で対応しましょう。
同じ言葉を話していても、表情が明るいのか暗いのかで受け取る印象は変わってきます。
好印象を与えるためにも、できるだけ明るい表情を心がけましょう。
丁寧な言葉づかいで話す
面接時の受け答えは、丁寧な言葉づかいで話しましょう。
面接の言葉づかいが丁寧でしっかりしているほど、印象は良くなります。
職場でも、利用者様やそのご家族様に不快に思われないような言葉づかいはとても重要です。
言葉づかいは普段の人柄が出るものですので、日常的に丁寧な言葉づかいをするように意識しておきましょう。
はっきりと明確に答える
面接官からの質問に答える際は、はっきり明確に伝えましょう。
端的に論理的に話すように心がけると、相手も理解しやすいです。
回答は前向きな言葉で締めると好印象を与えます。
積極的な姿勢や意欲をアピールしましょう。
志望動機などで書いたことをしっかりと覚えておく
面接までに、志望動機や自己PRなど履歴書や職務経歴書に書いた内容をしっかり覚えておきましょう。
面接官はあなたが書いた志望動機や自己PRから気になる点を質問してくる可能性があります。
志望動機や自己PRに書いた内容と異なる回答をしないように、記載内容を確認しておきましょう。
まとめ
志望動機には、介護職として応募先で働きたいという熱意をしっかりと表現しましょう。
好印象を持ってもらうためにも「介護職を志望したきっかけ」「応募先で働きたい理由」「自分の経験や強み」の3つを明確にして盛り込むと、熱意の伝わる志望動機が書きやすくなります。
今回ご紹介した例文を参考に、熱意がしっかりと伝わる志望動機を作成しましょう。
書類審査を突破した際は、面接時の対策ポイントもぜひ参考にしてください。