「介護職は給与が低い」そんなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。しかし、介護職の給与水準は年々アップ。平成31年度から令和2年度のわずか1年間で、介護職の平均給与が約18000円上がったというデータもあります※。
そこで、今回は30代で年収600万円以上を達成している介護職員にインタビューを実施。どんな職場や働き方を選択して現在の水準に到達したのか、お話をお聞きしました。
※出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」
【インタビューにご参加くださったAさんのプロフィール】
- 30代男性
- 専門学校卒
- 勤続18年目
- 所持資格:介護福祉士、介護支援専門員
年収600万円以上を叶える、介護職の給与明細
――いきなりですが、年収を教えてください!
Aさん:本当にいきなりですね(笑)。約660万円です。
――おお、30代後半の男性の平均年収532万円※を超えている……!ちなみに毎月の手取りはどのくらいになるのでしょうか……?
(※出典:国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告」)
Aさん:大体、32万円前後ですね。もう給与明細を見せちゃいますね。
上記:実際のAさんの給与明細
――オープン過ぎる……
Aさん:基本給のほかにも、入社8年目に結婚したので扶養手当を頂いていたり、家賃補助で住宅手当を頂いていたりするのも大きいですね。
ちなみに、賞与は6月12月の2回、それぞれ給与の1.8ヶ月分頂いています。
――あと、夜勤手当も大きそうですね。
Aさん:そうですね。やはり、給与を上げることを考えると、夜勤はひとつの選択肢かなと。
もともと日勤で働くケアマネジャーとして働いていた時期もあったのですが、介護職(介護福祉士?)として働いた方が夜勤を行う分、給料は高くなっているように思います。
――ちなみに、Aさんは、介護福祉士やケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を持っていますよね。そのことがプラスに働くことはあるんですか?
Aさん:私が所属している会社では、それらの資格に対する手当はありません。
ただ、世の中には、介護福祉士やケアマネジャー(介護支援専門員)についても資格手当を支給する会社はあるはずです。
また、仮に資格手当がなくても、資格を取らなくていい理由にはならないと個人的には思っていて。
自身のキャリアアップのためにも、資格はあるに越したことはないと思います。
年収660万円に至るまでの道のり
――今、年収約660万円ということは、入社時点からけっこうもらっていたのでは……?
Aさん:うーん……そこは、少し条件が良いくらいだったかと思います。
ただ、就職活動時は「手取り20万円以上、年間休日120日以上」という条件で探していました。
――新卒で「手取り20万円以上、年間休日120日以上」というと、なかなか見つかりにくいんじゃないですか?
Aさん:そうですね。通勤のアクセスも考えて調べたら1社だけヒット。そこが現在勤めている企業でした。
本当は正社員採用の期間が過ぎていたんですけど、直接電話してなんとか選考を受けることができて。幸運なことに、無事採用していただけました。
――そこからジワジワと給与が上がっていったと。
Aさん:はい。2年目は住民税がかかってきたので手取りが上がっている実感はなかったんですが、額面としては毎年月額9000円の上げ幅でジワジワと昇給。
8年目で結婚してからは手当が増え、18年目で現在の水準に到達しました。
――昇給の仕組みがしっかりある会社で長く働き続けると良いことがあるんだなぁ。
介護職で給与を考えるときに大切にしたいこと
――同世代の平均値を超える年収約660万円を達成しているAさんに聞きたいんですけど、介護職に携わる人が給与を考えるときに大切なことってどんなことがあると思いますか?
Aさん:何よりも、まず大切なのは基本給。仮に賞与が年に4ヶ月分もらえるとしても、ベースの基本給が低ければ、意外と支給額が低いこともあります。
また、夜勤手当を高く設定する代わりに基本給を下げて対応するところも。
夜勤で働き続けたいのであれば全く構わないのですが、そうでない働き方を望む場合は注意して見た方がいいかもしれません。
――手当を厚くする代わりに基本給を抑えているケースがあるんですね。逆にそのケースを活かせる人もいるんでしょうか?
Aさん:たとえば、夜勤を積極的に行うことができるパートさんだと逆に良いかもしれませんね。基本給という枠組みとは関係がないので。
また、正社員以外にも賞与を支給する会社もあるので、パートさんの場合は時給以外でどんなお金をもらえるか、確認するといいと思います。
――なるほど。パートさんの場合は手当を活かすべし、と。
Aさん:あと、意外と年間休日も大切。同じ年収でも、年間休日が120日と108日では時給換算したときに大きな差が開きます。
「これだけ働いても、これしかもらえないのか……」など、自分の給与に対する納得感も変わってくると思うんです。
Aさん:最後に伝えたいのが、退職金。将来のことや退職後の備えに準備しておいた方が絶対安心です。
会社によって、福祉医療機構だったり、中小企業退職金共済制度だったり、確定拠出年金制度だったりと、制度はさまざま。いずれでもよいので、加入しておくことをおすすめします。
――退職後のプランニングまで、さすがです……!Aさん、ありがとうございました!