医療事務は病院や診療所などで患者さんの対応や、医療費の計算、診療報酬の計算などさまざまな業務を担当するお仕事です。
この記事では、医療事務の資格の種類や試験内容、資格取得までのスケジュールから勉強法についてご紹介します。
医療事務に就職や転職、またはスキルアップを考えている方はぜひ参考して下さい。
目次
医療事務の資格は大きく分けて4種類!
医療事務は受験資格が必要のない民間資格です。
種類は数多くありますが、大きく4種類に分かれます。
医療事務の資格の種類4つを順番に確認していきましょう。
医療事務技能審査試験【メディカルクラーク】
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)は、日本医療教育財団が実施する試験です。
合格者には「メディカルクラーク」の称号が与えられ、医療事務職に求められる診療報酬請求事務業務のスキルや窓口業務の接遇マナーがあることの証明になります。
40年以上の歴史がある日本最大級の医療事務試験として広く知られているスタンダードな資格なため、これから医療事務を目指す方にとってはおすすめの資格です。
試験日 | 医科:年12回(毎月)の日曜日 歯科:年6回(奇数月)の日曜日 |
受験費用 | 7,700円(税込) |
合格率 | 約60%(平均5〜6割程度が合格) |
診療報酬請求事務能力認定試験
診療報酬請求事務能力認定試験は、日本医療保険事務協会が実施する試験です。
医療事務の重要な業務である診療報酬請求事務業務の資質向上を図ることを目的にしており、医療保険関係各法の理解、法律や通知の読解力をベースに専門性の高いスキルを証明します。
医療事務資格の中でも難易度が高い資格で、医療事務職として既に働いている方にとっては報酬アップに、これから目指す方にとってもキャリアアップにつながります。
試験日 | 年2回(7月、12月)の日曜日または祝日 |
受験費用 | 9,000円(税込) |
合格率 | 平均30〜40%程度 |
医療事務 管理士技能認定試験
医療事務管理士技能認定試験は技能認定振興協会(JSMA)が実施する試験で、日本初の医療事務資格として有名です。
医療保険制度や診療報酬の仕組みを理解し、正しく算定できるスキルを証明します。
受付から会計業務、カルテ管理といったさまざまな業務を担当する際に知識を活用できるので、医療機関で高く評価される資格です。
そのため、就職や転職時には大きなアピールポイントになります。
試験日 | 年6回(奇数月)の第4土曜日 インターネット試験は随時 |
受験費用 | 7,500円(税込) |
合格率 | 約40〜50%(合格者が半分を割り難易度は高め) |
医療事務認定実務者
医療事務認定実務者は、全国医療福祉教育協会が実施する試験です。
医療事務の実務に関する基本知識やスキルを客観的に評価します。
医療事務職は、接遇やマナーといった普遍的なものから医療制度や診療報酬に関する知識などの専門性の高いものまで幅広い知識やスキルが求められます。
そのため、医療事務の総合的な技術が身につくとして未経験者に推奨される資格です。
医療事務の知識やスキルを身につけたい方におすすめです。
試験日 | 年12回(毎月) |
受験費用 | 5,000円(税込) |
合格率 | 約60〜80%(初心者向けなので難易度は低め) |
資格取得までに必要な期間や取得方法
取得する資格の選定
医療事務の資格は数多くあるので、まずは取得する資格を選びましょう。
現在の就業状況によって選ぶのがおすすめです。
取得する資格の選び方を、下記にまとめましたので参考にして下さい。
現在の就業状況 | 選び方 |
医療事務職に就業中 | 収入アップにつながる資格 |
医療事務職に転職を検討中 | キャリアアップにつながる資格 |
未経験から医療事務職へ就職活動中 | 基本のスキルが学べる難易度の低い資格 |
試験日・申込期日を把握
取得する資格が決定したら、試験日と申込期日を調べましょう。
試験日と申込期日を事前に把握することで試験までのスケジュールが立てられます。
医療事務の試験に必要な勉強期間は、通信講座では約3~8ヶ月とされています。
資格の難易度や学習ペースにもよりますが、この期間を目安に試験までの勉強スケジュールを組むと良いでしょう。
受験申込
申込期間に入ったら各試験の申込方法に従って申し込みをします。
受験費用も忘れずに指定された方法で払いましょう。
受験申し込みに必要な書類や受験費用、申込方法は各試験を実施する機関のホームページで確認ができます。
受験申込書や受験願書が必要な試験はホームページや電話で請求ができるので、早めに取り寄せておきましょう。
資格試験合格
試験の前日に会場までの道順や必要な持ち物の確認、温度調節用の衣服の準備などを行い、当日は万全の態勢で臨めるようにしておきましょう。
受験が無事に終われば、後は合格発表を待つのみです。
試験結果(合否)は平均1ヶ月以内に通知されます。
見事合格となれば、合否通知から約1ヶ月以内に合格証書が届きます。
医療事務の試験問題の形式は?
医療事務の試験問題は一般的に学科試験と、実技試験のふたつに分かれます。
学科試験は主に択一式やマークシート形式、実技試験は記述式です。
試験当日は参考書やノートといった資料の持ち込みが可能なため、テキストを確認しながら回答することができます。
それぞれ学科問題と実技問題の出題内容について解説します。
学科問題の形式
学科問題は一般的に医療全般に関する総合的な視点から出題されます。
出題範囲は以下のような内容です。
- 医療事務の実務的な基礎知識
- 医療機関における制度について
- 保険請求業務に関する知識
- 医学の一般知識や用語
他にも、直接患者さんやそのご家族に接する機会が多い職種なため、接遇マナーに関する問題も含まれます。
持ち込んだテキストやノートを確認しながら回答できるため、実技問題に比べたら難易度は高くないでしょう。
すべてを暗記する必要はありませんが、正確に回答するためにも資料のどこに記載されているかは把握しておくと良いでしょう。
実技問題の形式
実技問題は医療関係の事務手続きを正しく速やかにこなすスキルが求められます。
特にレセプト業務(診療報酬明細書作成)は医療関係のみの業務なため、実技問題には欠かせない内容です。
レセプト作成、点検を正確に素早く行えるかが医療事務試験合格のカギとなるため、試験日までに演習を重ねておきましょう。
また、患者さんやご家族への対応や同僚とのコミュニケーションが適切に取れるのかも重要視されています。
実技試験でも接遇マナーやコミュニケーションスキルが大きく評価されるため、こちらも対策をしておく必要があるでしょう。
資料事務資格の勉強方法
専門学校で学ぶ
専門学校で学ぶ勉強法は一定の勉強時間が自分で取れない方や独学では継続できない方におすすめです。
なぜなら、決められたカリキュラムに沿って講義を実際に受けて学習を進めるため、リズムよく知識やスキルを吸収できるからです。
また、資格取得という同じ目的を持った仲間と一緒に学べるため、モチベーション維持にもつながります。
ただし、通信講座や独学に比べると費用が高めで、講義や通学時間が拘束されるため、他とのスケジュール調整が必要です。
生活リズムや水準とのバランスが取れるのであれば、最も効率良く学べる勉強法でしょう。
市販のテキストで独学する
独学は決まった勉強時間が取れない方、費用をできるだけ抑えたい方におすすめです。
決まったカリキュラムがなく自分でスケジュールを組むことができるので、マイペースに勉強を進めることができます。
また、専門学校や通信講座よりも費用を安く抑えられるのも独学のメリットです。
しかし、自分1人で勉強を進めなければいけないため、質問ができない、モチベーションが続かず途中で挫折してしまう可能性もあります。
ただ、自分で解決することでその分知識やスキルが身につくので、勉強法で迷われている方は独学から始めてみるのもひとつの方法です。
通信講座を受講する
費用を抑えながら必要な知識やスキルを学びたい方は通信講座を選ぶと良いでしょう。
カリキュラムに沿って自分で学習を進める勉強法なため、専門学校よりも格安で学べます。
基本的にはテキストに沿って自分で学習し、その都度出される課題に取り組みます。
課題は添削されて返却されるため、自分の弱点を把握しつつ進められる点は独学との違いです。
ただし、独学と同様モチベーションは自己管理となるので、途中で挫折する可能性があります。
しかし、一から参考書を選ぶ、スケジュールを組む必要はないため、すぐに勉強を始めるならおすすめの勉強法です。
医療事務に資格取得は必須じゃない?
医療事務の仕事は資格取得が必ずしも絶対条件ではありません。
なぜなら、専門的な知識が必要な業務ばかりではないからです。
例えば、患者さんにホスピタリティを持って接することができる、病院内の同僚と適切なコミュニケーションで上手く連携を取る必要もあります。
医療事務は医療に関わる部分だけでなく、医療関係以外の幅広いスキルが必要です。
しかし、資格が絶対条件ではないといっても、専門知識が必要ないわけではありません。
診療報酬計算や点検を担当する際には相応の知識が必要です。
資格を取得することは医療事務に関する知識やスキルを持っている証明になります。
採用されやすい、待遇が良くなるといったメリットもあるので、取得しておいて損はないでしょう。
医療事務の求人募集中
医療事務は求人情報にもたくさん掲載されています。
これから医療事務の仕事を探したい方のために、実際に求人に掲載されている情報をいくつか紹介していきます。
「医療事務の仕事をしてみたい」「どんな条件なのか知りたい」という人はぜひ参考にして下さい。
求人例【小児科・内科クリニック】
内科、リハビリテーション科、小児科の診療があるクリニックでの窓口とレセプト請求事務となります。
求人名 | 小児科・内科クリニックでの医療事務 |
職種 | 医療事務 |
勤務時間 | 8時30分~17時30分(休憩60分) |
勤務曜日 | 月曜日~土曜日 |
求人例【内科クリニック】
内科クリニックでの医療事務の仕事となります。
クリニックでの受付、会計、カルテ管理、入力業務、レセプト業務など医療事務としてさまざまな業務を任されます。
求人名 | 内科クリニックでの医療事務 |
職種 | 医療事務 |
勤務時間 | 8時30分~19時30分(フレックスタイム制) |
勤務曜日 | 月曜日~土曜日 |
求人例【内科・心療内科・精神科のクリニック】
内科、心療内科、精神科のクリニックでの医療事務となります。
新患、再来患者受付、会計入力、金銭授受、各種書類受付など、医療事務全般を任されるお仕事内容です。
求人名 | 内科・心療内科・精神科のクリニックでの医療事務 |
職種 | 医療事務 |
勤務時間 | 8時30分~17時30分(休憩60分) 9時30分~18時30分(休憩60分) |
勤務曜日 | 月曜日~金曜日 |
求人例【国立病院】
国立病院の神経医療センターでの医療事務となります。
受付窓口業務、電話応対、収納窓口業務などを任されます。
入院施設もある大きな病院での勤務のため、たくさんの患者さんに対応する必要があります。
求人名 | 国立病院での医療事務 |
職種 | 医療事務 |
勤務時間 | 8時15分~17時00分(休憩60分) |
勤務曜日 | 月曜日~土曜日 |
求人例【訪問介護施設】
訪問介護施設での医療事務となります。
専用ソフトを使用してのレセプト、診療報酬請求(医療・介護)、カルテ入力などの業務が必要となります。
求人名 | 訪問介護施設での医療事務 |
職種 | 医療事務 |
勤務時間 | 8時30分~17時30分(休憩60分) |
勤務曜日 | 月曜日~土曜日 |
まとめ
医療事務の資格は大きく分けると4種類あります。
どの試験も受験資格不要で受けられるため、スキルアップや就職、転職の大きな後押しになるでしょう。
資格は医療事務として働く上で必須ではありませんが、専門知識やスキルを身につけておくことは自分らしく働ける環境の可能性を拡げることにもつながります。
現在、医療事務として就業中の方は資格があることで待遇面が良くなる場合もあるので、実務経験だけでなく資格取得も検討して下さい。