OT(作業療法士)とは?PT(理学療法士)との違い、資格や仕事内容も解説!

OT(作業療法士)とは?PT(理学療法士)との違い、資格や仕事内容も解説!

OT(作業療法士)とPT(理学療法士)は、どちらも患者さんにリハビリテーションを行う職業となっています。

似たような名前ですが、仕事内容には明確な違いがあります。

今回は、OT(作業療法士)とPT(理学療法士)の仕事内容の違いや資格の取得方法についてご紹介します。

資格取得を目指す人はぜひ参考にしてください。

 

目次

OT(作業療法士)とは?

OT(作業療法士)とは、日常生活の中で行う必要がある作業を、病気・ケガなどの原因によって満足に行うことができない人のケアをします。

ここで言う「作業」とは、生きていくために欠かすことのできない食事や、仕事をする上で必要な行動など幅広い動作を指しています。

このように聞くと、身体的なサポートが求められるように感じますが、実際には精神障がいに対するケアも作業療法士の仕事の一部です。

単純に体を動かせるようにするだけではなく、うつ病から回復して日常生活に戻れるようにサポートをすることも作業療法士が扱う分野なのです。

 

OT(作業療法士)の仕事内容は?

OT(作業療法士)は、自分らしい生活を送れるようにするために、主に3つの能力にスポットを当ててケアをしていきます。

1つ目の能力が基本的動作能力で、軽い運動や感覚・知覚に関することや、心肺機能などです。準備運動やトランポリンなどを使って能力の改善を目指します。

2つ目が応用的動作能力です。

日常生活を送る上で欠かせない、食事や家事などを行うための能力を指します。

食事や着替えの練習だけでなく、お金や火の元の管理などを行えるようにする訓練も対象です。

3つ目は社会的適応能力です。

文字を書くことや計算能力に加えて、銀行や公共交通機関の利用など外出した先での活動を問題なく行えるようにします。

また、音楽や絵画などの能力も対象です。

 

作業療法士に求められる能力

作業療法士には、高いコミュニケーション能力と根気強さが求められます。

ときに思うような結果が得られなかったとしても、根気強くリハビリを継続していかなければなりません。

リハビリがつらいと感じでいる患者さんを励ますことや、わかりやすくリハビリの目的を伝えるなど、適した言葉をかけてあげられるコミュニケーション能力が必要になります。

また、患者さんの様子の変化に気づける洞察力も、作業療法士に大切な能力と言えます。

 

PT(理学療法士)との違い

PT(理学療法士)とOT(作業療法士)は、ともにリハビリテーションの専門家という点では同じです。

しかし、理学療法士はより動作に特化していて、スポーツ現場にも活躍の場があります。

OT(作業療法士)もPT(理学療法士)同様に、動作の改善を行い細かい作業ができるようにすることを目的としていますが、PT(理学療法士)はより大きな動きができるようにリハビリを行います。

専門的な言葉を使えば、PT(理学療法士)は歩行訓練などに代表される運動療法と、熱や電磁波の刺激を与える物理療法によるリハビリを行い、OT(作業療法士)は日常動作を訓練する作業療法によるリハビリを用いるのです。

なお、ふたつの資格の大きな違いとして、OT(作業療法士)は精神に障がいがある人も対象としているということでしょう。

そのため、精神病院でも活躍の場があります

 

OT(作業療法士)になるためには

作業療法士養成校を卒業する

OT(作業療法士)になるための進路は、大きく分けて3つあります。

まず、高校卒業後に作業療法士養成校を卒業する必要がありますが、養成校には「大学」「3年制短大」「専門学校」のうちのいずれかに入学することになります。

2020年の時点では、これらの養成機関は合計で208校です。

社会人でも専門学校に入学して、作業療法士になる道を選択する人もいるので、転職を考えている人でも資格取得は十分に可能です。

なお、養成学校を卒業するだけでは資格の取得はできず、国家資格試験に合格後に作業療法士として働くことができるようになります。

 

国家資格に合格する

国家試験は毎年2月の下旬ころに行われ、翌月の3月下旬に合格発表があります。

試験時間は午前・午後に合わせて時間40分かけて行われます。

PT(理学療法士)とOT(作業療法士)共通問題が100問と、それぞれの専門の問題が100問の合計200問が出題され、合計280点の問題で168点以上が合格となります。

合格率は70%を少し超える程度です。

 

作業療法士の職場

OT(作業療法士)の活躍の場は、整形外科やリハビリテーションセンターなどの身体障がい領域を扱う現場がメインです。

その次に高齢者を相手とする、特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどの需要が増えてきています。

さらに、精神科がある病院や、児童福祉施設・特別支援学校などのように発達障がいをケアする職場もあります。

職場によって対象となる相手が全く異なるので、自分の能力を活かせる場所を選ぶといいでしょう。

では、OT(作業療法士)が実際に活躍している現場をいくつか紹介します。

総合病院

総合病院に勤務する場合、ケガや病気などが原因で、今までのように体を動かすことができなくなった人を対象にケアを行います。

例えば、腕が思うように動かなければ、着替えも難しい作業となります。

OT(作業療法士)は日常生活を送るための動作を問題なく行えるようにすることが、メインの仕事です。

患者さんと一緒につらいリハビリを乗り越えた後の達成感や、患者さんが笑顔で生活を送れるようになることなどが、やりがいと言えるでしょう。

精神科の病院

精神科の病院で働く場合は、社会生活を問題なく送ることができるようにケアを行います。

精神的な問題を抱えている人は、自室にこもりがちです。

外出が減ってしまったことが原因で、落ちてしまった体力を取り戻すために軽い運動を促すことや、他者とのコミュニケーションでの不安の除去などが主な業務内容です。

患者さんが社会復帰を果たしたときの姿を見ることで得られる、充実感などがやりがいとなるでしょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設で労働するOT(作業療法士)は、在宅復帰に向けてリハビリを行います。

作業療法士だけでなく、言語療法士など他のリハビリ関連の有資格者と連携しながら業務を行うことが多いようです。

料理や洗濯などのリハビリや、読み書きのリハビリが中心となるでしょう。

リハビリを終えて、在宅に復帰するときに感謝されることにやりがいを感じる人が多いようです。

また、病院で働くのとは違った経験ができることに価値を見出すこともできます。

 

作業療法士の給料

OT(作業療法士)を目指す場合、どのぐらいの給料がもらえるのか気になるところではないでしょうか。

給料は地域によっても違いがありますが、正社員として働いた場合の平均的な給料の目安は23万円~30万円前後です。

20代前半など、まだOT(作業療法士)としての経験が少ない間はなかなか給料が上がりませんが、年齢と経験を重ねることで給料が上がっていく傾向にあります。

そのため、OT(作業療法士)としての収入をアップさせるためには、まずは様々な現場でたくさんの経験を積むことが大切です。

また、5年以上の実務経験など一定の条件を満たすと申請できる「認定作業療法士」の資格を取得することで、さらにキャリアアップも目指せます。

経験と知識、さらに専門性を高めることで、収入アップが可能な職業だと言えます。

 

まとめ

リハビリテーションの専門職のひとつであるOT(作業療法士)は、国家試験合格率が70%ほどで決して簡単な資格ではありません。

心と体の両方のケアを行うため、幅広い知識が必要になり、コミュニケーション能力の高さや忍耐力が求められます。

養成学校には社会人でも入ることができ、就職率も高いので転職にも向いている職業と言えるでしょう。

色々な患者さんの役に立ちたいと考えている人は、ぜひOT(作業療法士)を目指してみてください。

この記事の編集者
ミルモわーく編集部
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