児童指導員とは?資格の取得方法や仕事内容、職場を徹底解説

児童指導員とは?資格の取得方法や仕事内容、職場を徹底解説

児童指導員は、近年、子どもたちの教育や福祉をサポートする仕事として社会的な需要が高まっている職業のひとつです。

この記事では、児童指導員という仕事を初めて知った方や、児童指導員になる方法を知りたい方に向けて、仕事内容や働ける場所について解説します。

児童指導員になるための資格についても触れていくので、ぜひ参考にしてください。

目次

児童指導員とは?

子どもたちの中には、家庭の事情で児童養護施設に入所している子や、障がいがあり日常生活が困難なために障がい児入所施設を利用している子どもがいます。

児童指導員は、こうした子どもたちが通う児童福祉施設で、一人ひとりの事情や特性に合わせた訓練や支援を行うことで、子どもたちの成長を促し、将来自立した社会生活を送れるようにサポートする大事な役割を担っています。

2012年に改正された児童福祉法では、これまでサポートがおざなりになっていた「発達障がいを持つ子ども」も児童福祉の支援対象に含めることが決定されました。

このことによって、発達障がいを持つ子どもが利用できる児童福祉施設が増え、児童指導員の需要が高まるきっかけになったと言われています。

児童指導員になるには

児童指導員任用資格が必要

実は、「児童指導員」という名称の資格や免許は存在しません。

では、誰でも児童指導員になれるのかと言えばそのようなことはなく、児童指導員になるには「児童指導員任用資格」が必要になります。

任用資格とはその職業に就くために定められている学歴や保有資格、実務経験の基準のことを言います。

児童指導員任用資格の場合、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第43条で定められています。

例えば下記のような条件が必要となります。 ・幼稚園や小学校、中学校、高校の教員免許を保有していること

・児童福祉施設での実務経験が2年以上あること

・社会福祉士、精神保健福祉士の資格を所有している

・大学や大学院で社会福祉学や心理学、教育学、社会学の学科を卒業している

など

児童指導員任用資格の詳しい内容や取得方法はこの後に解説しますが、就業の際に児童指導員任用資格を持っているかを、大学や大学院の卒業証明書、履修科目証明書、教員免許の免許状の写し、実務経験証明書などを提出することで証明しなければいけません。

大学によっては、児童指導員任用資格証明書を発行しているところもあるので、現在大学生の方は学生課などに確認してみると良いでしょう。

児童指導員任用資格を取得する方法

では、実際に児童指導員任用資格の取得方法をご紹介します。

資格取得要件は、最終学歴や、取得・保有している資格によって異なりますので注意が必要です。

ここでは、大きく3つの方法を解説していきます。

大学・大学院・養成校を卒業する

国内外の4年制大学や大学院で、社会福祉学、教育学、社会学、心理学を専修する学科を卒業した人や、修士号・博士号を得た人は、児童指導員任用資格を得ることができます。

また、都道府県知事の指定する養成校を卒業した方も、同様に児童指導員任用資格を取得可能です。

都道府県知事の指定する養成学校を卒業した場合、各学校の卒業証明書または学科の履修証明書が必要となります。

定められた資格を取得する

幼稚園や小学校、中学校、高校の教員免許を持っている人や、社会福祉士、精神保健福祉士の国家資格を保有している人も、児童指導員任用資格を取得することが可能です。

教員免許の場合は、小中または中高の一貫教育を行う義務教育学校や中等教育学校も含まれます。

児童指導員任用資格を証明するためには、教員の免許状や、各種資格の資格証の写しが必要です。

実務を経験する

上記にあてはまらない方でも、児童福祉施設で2年以上かつ360日以上の実務経験があれば児童指導員任用資格を得ることができます。

高校の卒業資格を持っていない場合は、児童福祉施設で3年以上かつ540日以上の実務経験を積み、さらに都道府県知事から認定を受けることができれば、児童指導員任用資格を取得可能です。

なお、就業の際は、実務経験証明書が必要になります。

児童指導員の仕事内容

児童福祉施児童の生活を支援する

児童指導員の仕事は、子ども一人ひとりの状況に合ったサポートを行い、子ども自身が日常生活や社会活動に参加しやすくなるよう導くことです。

業務内容は施設の種類によって異なりますが、例えば、障がい児通所施設では学習の補助を行うほか、学校や児童相談所、医療機関といった関係機関と連携し、児童の発達を促します。

入所型施設の場合はこれに身体介護を含む日常生活のサポートが加わり、児童養護施設では生活指導や、進学・就労支援、必要に応じて精神面のケアなども含まれます。

また、いずれの施設でも、保護者の相談対応も重要な業務のひとつです。

事務作業や児童の送迎

子どもたちをサポートする過程では、一人ひとりに個別支援計画が作成されます。

児童指導員は個別支援計画に基づいてサポートを行いますが、関係機関との連携のために、支援計画の実施について活動記録を記すなどの事務作業も重要な業務のひとつです。

また、通所型施設の場合は、児童の自宅と施設間の送迎も行うことがあります。

送迎の時間は、児童が家庭もしくは施設でどう過ごしているかや、支援内容、成長の状況を保護者と共有できる時間にもなっています。

児童指導員の給料

児童指導員の給与については、契約形態や勤務地によって相場に差があるため一概には言えませんが、一般的に正職員の平均月給は約27万円、平均年収はボーナスを含めて約380万円となっています。

こちらは、残業手当や通勤手当など各種手当は含んでいないため、実際の支給額はこの金額よりも高い可能性があります。

この給与相場は、同じく子どもの成長に携わる保育士と比較すると、20%~30%ほど高い水準になっているようです。

また、これは児童指導員に限ったことではありませんが、首都圏や関西圏、東海地方など、比較的都市部が給与は高い傾向となっています。

児童指導員の勤続年数

児童指導員の勤続年数ですが、平成30年度の「障がい福祉サービス等従事者処遇状況等調査」によると、常勤の場合は平均5.5年、非常勤の場合は3.5年という結果が出ています。

(参考)平成30年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査の調査結果(詳細)|厚生労働省

この数字を短いと捉えるか長いと捉えるかは人それぞれですが、福祉や介護職の処遇改善加算の届け出によって、職場環境の改善が図られるほか、昇給や昇格制度が明確になるように整備が進められています。

そのため、長く働くことができ、キャリアアップが目指せる環境であると言えるでしょう。

児童指導員の職場

児童指導員は児童福祉施設で働くと紹介しましたが、具体的にどんな場所で活躍しているのでしょうか。

ここでは児童指導員として活躍できる職場を具体的に4つご紹介します。 児童指導員を目指す人はぜひ参考にしてください。

児童発達支援施設

児童発達支援施設は障がいを持つ小学校就学前の子どもに対するサポート施設で、日常生活や集団生活でスムーズに過ごすことができるようになるための訓練や、感性や表現力を養うための療育を行っています。

支援内容は、施設ごとの方針や理念によって様々です。

親子で一緒に通ってもらう方針の施設もあれば、母子分離型で子どものみ通う方針のところもあります。

また、利用時間や通所頻度も様々で、施設の方針や子どもの発育状況で異なります。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、障がいを持つ小学生、中学生、高校生の子どもに対して、放課後や学校が休みの日に、日常生活のための技術や技能向上の訓練を行う施設です。

工作などの創作や作業活動を行うほか、イベントの開催やボランティア活動などで地域との交流を持つこともあり、子どもたちが自宅や学校以外で社会との接点を作れるようにサポートしています。

原則は高校生までの利用になっていますが、一部の施設では20歳まで通所可能になっているところもあります。

障がい児入所施設

障がい児入所施設は身体障がいや知的障がい、発達障がいを含む精神障がいなどを持つ子どもで、自宅で保護者が養育するのが難しい場合に入所する施設で、0歳~18歳の児童が入所することができます。

日常生活に関する知識や技能を身に着けるための訓練に加え、食事や入浴、排泄といった介助なども行います。

こちらも、放課後等デイサービスと同様に、施設によっては、継続的な支援が必要と判断された場合20歳までの利用が可能です。

児童養護施設

児童養護施設は、両親の病気や死別、経済的困窮などで保護者と暮らすことのできない子どもや、虐待などで保護者と離れて暮らすのが適切と判断された子どもを保護し、養育する施設です。

2歳~18歳までが利用可能で、同様の事情を抱える2歳未満の子どもは乳児院と呼ばれる施設に入所します。

子どもと生活を共にしながら、適切な生活習慣や学習習慣を身に着けられるようにサポートを行います。

また、必要に応じて退所後の進学や就職に向けた支援も行うのが特徴のひとつです。

まとめ

近年、社会的な関心や需要が高まっている児童指導員について、勤務先や仕事内容、任用資格を解説しました。

児童指導員は関係機関と連携しながら、子どもの発達と自立を支援しています。

2012年の児童福祉法の改正によって、発達障がいを含む精神障がいを抱える子どもも福祉支援の対象となり、今後もますます児童指導員の活躍の場は広がると予想されています。

子どもの教育や福祉に携わりたいと考えている方は、ぜひ記事を参考にしてください。

この記事の編集者
ミルモわーく編集部
ミルモわーく編集部
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