福祉用具専門相談員の仕事はきつい?業務内容や資格の取得方法について解説!

福祉用具専門相談員の仕事はきつい?業務内容や資格の取得方法について解説!

福祉用具専門相談員は介護現場で活躍する職種のひとつです。

福祉用具というと車いすやリハビリ器具などを取り扱うため、力仕事で仕事内容がきついのでは?と思う方も中にはいるかもしれません。

しかし単に力が必要というだけの仕事ではなく、資格が必要であり、介護現場を支え幅広く活躍する専門職です。

今回はそんな福祉用具専門相談員の業務内容や資格の取得方法について詳しく解説していきます。

目次

福祉用具専門相談員とは?

福祉用具専門相談員は、介護が必要な方やその家族に対して、福祉用具の選び方や正しい使い方をアドバイスする専門家です。

専門知識が必要になるため、定められた研修カリキュラムを修了し資格を取得することが必要になります。

介護保険の指定を受けた福祉用具貸与・販売事業所では2名以上の福祉用具専門相談員の配置が義務付けられているため、福祉用具を取り扱う販売事業所にとってはなくてはならない存在です。

それでは具体的な仕事内容について紹介します。

福祉用具の選定や相談に対応

福祉用具専門相談員は、介護が必要な利用者の状態を把握し、自宅や施設など実際に利用する場の環境も考え、福祉用具選びを手伝います。

福祉用具の貸与時には金額の説明をするのも福祉用具専門相談員の仕事のひとつです。

厚生労働省から2018年以降福祉用具の貸与に上限額が定められ、福祉用具の貸与時には全国平均の貸与価格と提案する貸与価格を比較しながら両方を説明することが義務付けられたため、規定に基づき丁寧に説明することが求められます。

福祉用具の利用計画の作成

利用者の状態を把握し、福祉用具の利用計画を立てます。

このときに福祉用具サービス計画書を作成し、福祉用具の利用目的や期待される効果、今後の利用計画を記載し、利用者やケアマネージャーに提示し説明します。

福祉用具の取り扱いを説明

福祉用具専門相談員は、利用者の自宅や施設など実際の利用環境を訪問し、取り扱いの説明をします。

利用者や家族が正しく安全な使用ができるように対応していきます。

また、福祉用具は使用する前に利用者の身体に合わせて調整も必要になるため、細かな調整も福祉用具専門相談員が担います。

福祉用具利用者のもとに定期訪問

福祉用具専門相談員は利用者の自宅や施設を定期的に訪問し、正しく利用されているかや不備はないかなどモニタリングを行います。

使い方や安全性に問題があればこのときにメンテナンスを行い、もし不備があれば交換なども考えられます。

また利用状況も確認し、当初立てた福祉用具の利用計画の進捗具合なども確認します。

モニタリングは年2回の実施が義務付けられている大切な作業であり、用具の安全は利用者の安全や命に直結するため、欠かせない作業と言えるでしょう。

福祉用具の営業

福祉用具専門相談員は、ここまで挙げた専門的な仕事だけではなく営業力も求められます。

施設を訪問し意見交換をしたり、直接利用者と接するケアマネージャーともコミュニケーションを取って営業活動を行ったり、新製品のカタログなどを配布して利用してもらうようにつとめるなども福祉用具専門相談員の仕事です。

そもそも「福祉用具」とはなに?

「福祉用具」といってもさまざまなものがあります。

介護保険によって、福祉用具は「貸与(レンタル)」の対象と「販売」の対象に分かれています。それぞれ詳しくみていきましょう。

貸与対象種目

介護保険で貸与可能な福祉用具は13品目あります。

貸与対象種目は下記の通りです。

・車いす

・車いす付属品

・特殊寝台

・特殊寝台付属品

・床ずれ防止用具

・体位変換器

・移動用リフト(つり具の部分を除く)

・手すり

・スロープ

・歩行器

・歩行補助杖

・自動排泄処理装置

・認知症老人徘徊感知機器

ただし要介護の度数によって実際に介護保険を利用できるかどうかが変わるため、利用時には確認が必要です。

販売対象品目

介護保険で購入できる福祉用具は「特定福祉用具販売」といい、以下のような品が対象になります。

・腰掛便座

・自動排泄処理装置の交換可能部品

・入浴補助用具

・簡易浴槽

・移動用リフトのつり具の部分

衛生面から貸与(レンタル)に適さないとされる商品に関しては、購入した費用の一部が戻ってくるという仕組みになっています。

また、在宅介護の方のみが対象となります。

福祉用具専門相談員になるには?

福祉用具専門相談員になるには、指定の講習を受ける、または特定の資格をすでに所有している必要があります。

福祉用具専門相談員指定講習を受講する

福祉用具専門相談員になるための方法のひとつは、「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、カリキュラムを修了することです。

具体的には下記のようなカリキュラムとなっています。

科目 時間数
福祉用具と福祉用具専門相談員の役割 2時間
介護保険制度等に関する基礎知識 4時間
高齢者と介護・医療に関する基礎知識 16時間
個別の福祉用具に関する知識・技術 16時間
福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識 7時間
福祉用具の利用の支援に関する総合演習 5時間

これら50時間のカリキュラムを修了する必要があります。講習の最後には、理解度を測るための筆記テストが行われます。

特定の国家資格を所有している人でも業務可能

福祉用具専門相談員指定講習を受講しなくとも、特定の国家資格を所有していれば福祉用具専門相談員として働くことができます。

対象となるのは下記の国家資格です。

・保健師

・看護師

・准看護師

・理学療法士

・作業療法士

・社会福祉士
・介護福祉士
・義肢装具士

上記の資格を所有しているだけで、福祉用具専門相談員として認められます。

福祉用具専門相談員からさらにスキルアップできる資格

福祉用具専門相談員の資格を取得した後も、以下の資格を取得することでスキルアップし、将来の選択肢を広げることもできます。

・福祉用具プランナー

・福祉用具選定士

・福祉住環境コーディネーター

福祉用具プランナーと福祉用具鑑定士は実務経験が必要ですが、福祉住環境コーディネーターは実務経験なしで受験可能な資格です。

ステップアップを考えている方はぜひ検討してみてください。

福祉用具専門相談員が「きつい」ことはなに?

福祉用具専門相談員はきつい仕事であると思われがちです。

仕事内容についてはご紹介してきましたが、具体的に「きつい」と感じるのはどのようなところなのか、確認していきましょう。

体力がいる

福祉用具相談員の仕事には、福祉用具の搬入や調整など、体力を必要とする業務もあります。

福祉用具は利用者の身体を支えるものも多く、大きかったり重かったりするものも中には存在します。

エレベーターがない場合は、部品や用具そのものを抱えて移動する必要があるほか、また組み立てや設置を行わなければいけません。

さらに、完成後は利用者が実際に使用するときに、利用者を支えて動かすような場面もあります。

そのため、体力のある男性ならともかく、女性の場合は力仕事がつらいと感じることもあるかもしれません。

最近では、搬入など重い作業は業者を利用し、運搬してもらうといったケースもあります。

福祉用具の知識を覚える必要がある

福祉用具は日々新しい商品が開発されており、また既存の商品のアップデートも随時あります。

それにともなって自分の知識も最新の情報にしておかなければいけません。

福祉用具は利用者の安全に直結しているものもあるため、商品の安全性に対しても常に把握し、気を配る必要があります。

覚えることが多く勤務時間外でも福祉用具の知識を勉強する場合もあるため、その点をきついと感じることがあるかもしれません。

営業ノルマがある場合も

福祉用具貸与事業所に属する福祉用具専門相談員は、営業をかけて契約を取ってくることも業務のひとつです。

そのため、新規契約件数、受注件数のノルマを課すという事業所もあるようです。

ノルマを達成するためにケアマネージャーと連絡を取ったり、センターをまわったりという業務が発生するため、忙しくきついと感じる場合もあります。

またノルマに対する精神的なプレッシャーもきついと感じる一因になるかもしれません。

書類作成業務が多い

福祉用具専門相談員は書類仕事も多く担います。

まずは利用者に提示する福祉用具サービス計画書の作成です。

この仕事は福祉用具専門相談員の義務化された仕事であり、重要な書類でもあるため作成に時間をかける福祉用具専門相談員も少なくありません。

また、利用者のモニタリングの際には報告書の作成をして、使用状況の把握・確認をして利用計画の見直しをすることもあります。

そのため、書類仕事で時間が圧迫され、忙しくてつらいと感じる福祉用具専門相談員もいます。

福祉用具専門相談員にやりがいを感じるとき

福祉用具専門相談員の仕事できついことを紹介しましたが、もちろんどんな仕事にでもきついことはあります。

そしてきついだけでなく、やりがいも感じられることでしょう。

福祉用具専門相談員をしていく上で、やりがいを感じる瞬間をみてみましょう。

利用者に喜んでもらったとき

利用者やその家族から感謝の言葉をかけてもらうことが一番のやりがいだと感じる福祉用具専門相談員は多いです。

常に利用者と接する仕事ではないため、なかなか覚えてもらいにくい仕事ではありますが、それでも初回の説明時やモニタリングを通して、利用者と接する機会はあります。

中には福祉用具への感謝、それを選びメンテナンスしてくれる福祉用具専門相談員への感謝を直接伝えてくれる利用者や家族もいるので、大きな充実感や喜びにつながります。

忙しい中でも利用者とコミュニケーションを持つことによって、やりがいがうまれるかもしれません。

実際に利用者の自立支援の役に立ったとき

福祉用具は利用者の生活を支援するために使われるものです。

福祉用具を利用者のもとに届けて、実際に利用者が使用していく上で自立支援につながっていたとすれば、それは福祉用具専門相談員の仕事が成功しているということでもあります。

モニタリングの際に「歩行器具を使うことで外出できるようになった」「今まで家族の手を借りなければできなかったことが福祉用具を使って一人でできるようになった」など知れば、

福祉用具を通して利用者の力になることができているという達成感や、大きなやりがいを感じることでしょう。

日々の努力が次の依頼につながったとき

利用者とのコミュニケーション、ケアマネージャーとの連携で利用者のニーズをくみ取り、それを新しい福祉用具につなげるという仕事はとても大きなものです。

商品開発まですること難しいですが、ときには事業所に利用者のニーズを届けたり、日々の中で新しい契約につなげたりすることもあります。

日々の業務の中でこつこつ真摯に仕事に取り組むことで、自身の評価を上げることにもなり、やりがいにもつながるでしょう。

福祉用具専門相談員に向いている人

それでは、福祉用具専門相談員には、どのような人が向いているのかも知っておきたいところだと思います。

具体的な向いている人の特徴についてご紹介します。

他人の変化に気づきやすい人

利用者と関わる機会は最初の福祉用具の利用計画の作成時、そして次はモニタリングのときになります。

以前はどうだったか、福祉用具を使ってどう変わったかを利用者本人や家族からの伝聞だけではなく自分が見て変化に気づけるかという点はとても重要です。

小さな変化に潜む、福祉用具を使う上での危険性や問題に気づけるように、常に注意を払える人が向いていると言えます。

フットワークが軽い人

福祉用具専門相談員は「対応力」が求められる仕事です。

介護業界では不測の事態がよくおこりますし、福祉用具の故障も発生する可能性があります。

そういったときにすぐさま対応できるフットワークの軽さが必要です。

福祉用具は利用者の生活を支えるものなので、もしすぐに必要なものが届かなければ生活に支障をきたす恐れもあります。

不便をかけないためにも、いろいろな事態に備えること、そしてすぐに動ける、対応できるという点はとても大事です。

コミュニケーション能力が高い人

利用者や利用者家族と信頼関係が築けるかという点はとても重要です。

またケアマネージャーなど他の介護サービス関係者との連携も必須となってくるため、密にコミュニケーションを取り業務を進めていくことが必要になります。

利用者や家族の気持ちを理解し、福祉用具を使う上での希望や意見などをくみ取って福祉用具のアドバイスを行うことが大切です。

表面的にただ話を聞くだけでなく、利用者や家族から信頼されてこそひきだせる本音や不安もあるかもしれません。

人と関わるのが得意な人、好きな人は向いていると言えるでしょう。

最新の技術を学ぶことが好きな人

福祉用具は常に進化し続けています。

福祉用具専門相談員は福祉用具を使用する上で自分も常に最新の知識を持っていなければいけません。

そのため、常に勉強し、知識をアップデートしておく必要があります。

また、製品について学ぶだけでなく使われている技術や機能についても広く情報を収集することができればより理解につながります。

最近ではAIを使った技術を福祉用具にも取り入れるなどの開発が進んでいるため、最新の技術について詳しく学ぶことが好きな人は向いていると言えるでしょう。

福祉用具専門相談員の1日の流れ

福祉用具専門相談員の仕事は多岐にわたりますが、実際にどのような1日を過ごしているのでしょうか。

福祉用具専門相談員の仕事の1日の流れを簡単に紹介していきます。

8:30 出社、ミーティング、準備
9:00 福祉用具の納品のため利用者宅へ。設置・説明や安全確認など
10:30 帰社、書類作業
11:30 福祉用具の納品のため利用者宅へ。設置・説明や安全確認など
12:30 昼休み
13:30 利用者宅を訪問し利用者・家族と面談
14:30 モニタリングのため利用者宅へ
15:30 モニタリングのため利用者宅へ
16:30 ケアマネージャーとの打ち合わせ
17:00 帰社、書類の作成
17:30 退勤

福祉用具専門相談員の仕事の流れはその日によって違います。

急な対応が発生する場合もありますが、基本的には福祉用具のお届け・利用説明やケアマネージャーとの打ち合わせ、利用者のモニタリング、書類作成などに時間を費やしています。

福祉用具専門相談員の実際の求人募集内容を紹介

では、福祉用具専門相談員の具体的な求人とはどのような募集内容でしょうか。

実際の求人から、応募要件や給与面などをご紹介します。

福祉用具の選定からアフターフォロー・介護施設への営業など

福祉用具貸与事業所で、訪問介護事業、住宅紹介事業を併設している会社での福祉用具専門相談員の募集のパターンです。

会社負担による、福祉用具専門相談員の資格取得支援制度も存在する会社です。

仕事内容 ・福祉用具等の相談業務や選定、アフターフォローまで・介護施設や医療機関への営業活動 ・近隣地区を車でルート訪問
給与 月給 19万円~23万円程度(+賞与あり)
社会保険・退職金 完備
年間休日日数 104日
勤務時間 08:30~17:30(休憩60分)

福祉用具の選定やアフターフォロー・住宅改修業務など

次に福祉用具貸与事業所での福祉用具専門相談員募集のケースです。

仕事内容 ・福祉用具の選定や相談、アフターフォロー、配達や回収等 ・福祉用具の取り付け、保守、調整・利用状況の確認・担当者会議出席・その他事務業務(PC入力)  
給与 月給 17万円~20万円程度(+資格手当、職務手当、賞与あり)
社会保険・退職金 完備
年間休日日数 110日
勤務時間 9:30~18:00(休憩60分)

福祉用具専門相談員の給料はどのくらい?

福祉用具専門相談員の一般的な求人募集を見てみると、多くは月給20万円前後で求人サイト等に掲載されています。

指定講習を受けるだけで取得可能な職種であるものの、最低でも17万円前後からはじまり、さらに資格手当や職務手当、賞与などがプラスされ、給20万円前、全国平均で年収350万円前後となっています。

さらに、介護業界では長い実務経験が高く評価され、年齢が上がるにつれ給料も上がっていく傾向にあります。

まとめ

福祉用具専門相談員は、利用者の生活環境に最適な福祉用具の提案を行い、利用者がその福祉用具を使って自立する手助けをするという大事な役割を担っています。

仕事はきついと感じるシーンが多いものの、利用者の生活の利便性を高めることに直結するため、やりがいもたくさん感じられることでしょう。

さらに今後ますます、高齢化社会が進むにつれ、介護業界は発展していくことが考えられます。

そんな中で、福祉用具専門相談員は設置が義務付けられている職種として、今後もニーズが途切れることはないと予想されます。

指定講習を受講すれば取得できる資格ですから、介護業界で働きたいと考えている方はチャレンジを考えてみてはいかがでしょうか。

この記事の編集者
ミルモわーく編集部
ミルモわーく編集部
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